
今回は、イージングの基本について紹介していきたいと思います。AviUtlでのイージングはmimarakaさんのCurve EditorとUndoFishさんのイージングスクリプトが主な方法です。
この記事ではCurve Editorをメインに説明しています。イージングスクリプトに関しては新旧あり、それぞれに同梱されたイージング関数のグラフを参照しながら参考にしてみてください。
Curve Editorはイージングのグラフを自分で作って適用させます。カーブを自由にいじることができますが、理想の動きを表すカーブを作るのには知識とコツが必要です。

もうひとつのイージングスクリプトはイージングのグラフがすでに出来上がっていて、好みのカーブを選択して適用する簡明なものです。わかりやすく手軽ですが、カーブを微調整することはできません。

モーショングラフィックスを作ってみたい、滑らかなテキストアニメーションにしたいという方はmimarakaさんのCurve Editorがおすすめです。
難しいことはちょっと遠慮して、サッとそれなりの動きを作りたいという方はUndoFishさんのイージングスクリプトがおすすめです。
イージングとは
イージングは一言でいうと動きに緩急をつけることです。例となる動画ではA地点からB地点まで加速と減速をして移動しています。
ease-in

A地点からB地点までの道のりを半分で区切ってその動きを見てみます。静止したオブジェクトが移動するときにはゆっくりと動き出し徐々に加速をします。

このようなカーブを描きます。徐々に加速していく動きをease-inと呼び、カーブがきつくなるほど緩急もきつくなります。
ease-out

後半部分を見てみます。動いていたオブジェクトが止まろうするときは急には止まらず徐々に減速して止まります。

徐々に減速するグラフではこのようなカーブを描き、ease-outと呼ばれています。
ease-in-out

画面上で静止したオブジェクトが動き出し、やがて停止する動きはease-in-outと呼びます。ease-inとease-outを足したグラフになっていますね。
上の例で紹介した動きはこのease-in-outのグラフをとっています。
ここまで見てきたように、イージングの基本は緩急であり、動き出しはゆっくりで徐々に加速し、徐々に減速して停止するというものです。
実際の編集では

AviUtlでパラメータの値を移動させる場合、よく使われるのが中間点です。しかし、中間点を打つ方法では各区間に異なるイージングを設定することが難しいです。
登場だけ、退場だけなどのようにイージングの設定がひとつの場合に有効です。

個人的によく使うのが、座標や拡大率等をメディアオブジェクトとして出す方法です。この方法なら最初と最後で別々のイージングを設定することが容易です。中間点に縛られずに各パラメータを設定できるのも良いですね。


移動毎に別オブジェクトというやり方もあります。パラメータの変更・修正などの管理が難しい反面、思った通りの動きを再現するには必要となることもあります。意外と上級者向けです。
以上、3つの方法がありますが基本的にはメディアオブジェクトで出す方法がおすすめです。
試してみよう
四角形が画面の外から中央へ移動するサンプル動画です。


メディアオブジェクトで座標を出し、登場と退場で分けてみます。座標のメディアオブジェクトの長さは1秒です。
ちなみに、座標は基本効果の中にあります。

画面の外から登場して中央で停止する動きはease-outのグラフでしたね。少しきつめのカーブを描いてみました。UndoFishさんのイージングスクリプトで言うと23番ですね。

退場時は静止したオブジェクトが徐々に加速するease-inのグラフです。UndoFishさんのイージングスクリプトでは22番。


イージングのカーブはそのままに移動時間を半分にしてみました。ギュンと来てサッと去って行ってしまいましたね。
緩急はイージングのカーブだけでなく移動時間や移動量によっても変化します。何秒で移動すると決めた場合にはカーブのきつい緩いで調節し、カーブを決めて移動させる場合にはオブジェクトの長さや移動する量で調節することになります。
同じカーブ、同じイージング番号ならなんでも綺麗に見えるという訳ではなく、動きに合わせた調節が必要なことが分かると思います。
ちょっとしたコツ
こちらが最終的に完成したイージングで緩急をつけたオブジェクトの動きです。

ちょっとしたコツは登場時(動いているオブジェクトが減速して止まる動き)を少し長めにとることで余韻を含ませることです。
逆に退場時はあんまりゆっくり出ていくと、はよ行けと感じてしまうので少し短めにしてサッとはけてもらいます。
ただ、見ている人が気付かない程度というのもポイントです。あからさまなものは違和感を感じてしまいますから。

ease-in-outのグラフを作るときも同じようにoutが少し長めになるように工夫をしてみるといいと思います。
使用例
スライスしたオブジェクトを結合する動き。

斜めクリッピングをかけて上半分にしたオブジェクトと角度を変えて下半分にしたオブジェクトの二つを座標移動させています。

下半分は数フレームずらして少し遅れてやってくるようにしています。登場する動きなので移動はease-outのグラフになります。
横長にした四角形(図形)にクリッピング。テキストを合わせて登場。

ひとつひとつを見ると、クリッピングはease-in-outで徐々に加速し、徐々に減速していく動き。テキストは右から左へease-outで徐々に減速する動きとなっています。
上のオブジェクトでクリッピングすることで四角形(図形)の中でだけ見えるようになっています。

Legendさんのrounded_circleというカスタムオブジェクトで円を描いています。ease-in-outのグラフで緩急のある動きになります。
モーショングラフィックスなどで図形が動く場合はほとんどイージングで緩急のある動きになっていると思います。参考になる動画をスロー再生やコマ送りで観察してみてください。
いかがだったでしょうか。
オブジェクトの動きに緩急をつけるというのは、モーショングラフィックス、シーンチェンジ、テキストアニメーションなどに共通して重要な要素になります。物体が動くときの特徴を理解し、加速と減速を扱えるようになると表現の幅が広がって豊かなモーションが作れるようになると思います。
他にもback(戻る)、elastic(振動)、bounce(弾む)などもあるので興味のある方は是非いろいろ試してみてください。
