今回は、モーショングラフィックスを研究する際に覚えておくと良い動きのパターンを紹介したいと思います。
動画の研究 観察・分解・再構築
動画の研究をする際はお手本となる動画を観察し、動きを分解し、自分で再構築するというのが私が実践しているやり方です。
観察では動きを見てどうなっているのか分かるのが理想です。そのためにはある程度動きのパターンを自分の中で持っておくことが必要です。物理的な法則や、物理的でなくてもそう見えるアニメーションといったものを学んでおくと観察が捗ります。
分解では、観察で理解した一連の動きをいくつかに分ける試みをします。移動であれば止まった瞬間や動きを変える瞬間が切れ目になることが多いですね。また、移動しながら回転しているような動きは移動と回転を別々に捉えて考えることになります。
再構築は今自分が持っている知識と技術の総合力でお手本の動きを再現しようとする段階です。
モーションの基本は緩急
モーショングラフィックスではほとんどがイージングによる緩急をつけた動きです。静止した物体が動く際は徐々に加速し、動いている物体が止まる際は徐々に減速します。
AviUtlではmimarakaさんのCurve Editorでイージングを自在に操作することができます。未導入の方はこれを機に試してみてください。
予備動作
予備動作は物体が動く前に進行方向とは逆向きに作用する動きです。
ease-in-backのグラフをとります。上の画像は前半がease-in-backで後半がease-outのカーブになっています。
ひとつのグラフで上手くいかないときは移動を分けるのもありです。前半が後ろに引く動き、後半が前に進む動きにします。
回転の予備動作。一旦逆方向へ移動し力をためて回転。
拡大率の予備動作。縮小する前に一度拡大します。
物体が弾むという特定のアニメーション。飛ぶ前に一度潰れ反動を利用して高く飛ぶような動きです。
反動
反動は進行方向とは逆向きに働く力で、停止位置を少し過ぎてから戻るような動きや何かにぶつかって跳ね返るような動きになります。
前半はease-inで後半はease-out-backのグラフ。
ぽよんと登場するテキスト。拡大する際、本来の位置よりも少し大きくなってから戻る動きになります。
落下する物体を受け止める際、一度沈んでから浮き上がるモーション。
タイミングを変えて、深く沈んでからゆっくり浮き上がったりしても良いですね。
予備動作と反動、どちらの動きも普通に動いて止まるよりも動きが大きくダイナミックな印象を受けます。
時間差
イージングの類ではありませんが、時間差をつけてオブジェクトを動かすことで後追いの動きをします。
同じ動きをさせたものを1フレームずらして配置しています。
使用例
弾むアニメーション。
赤い円が落下するときは徐々に加速、跳ね上がるときは徐々に減速します。赤い円が弾の字に接地してからの数フレームは移動方法を瞬間移動にして手付けで潰しています。弾の字が伸びてから元に戻るのはease-out-backのグラフ。
モーショングラフィックスでは細かな調整が必要なので結構細切れです。
時間差をつけたモーション例。止まった時が動きと動きの繋ぎ目です。
いろんな動きの組み合わせ。
いかがだったでしょうか。
動きのパターンをいくつか覚えてからお手本を見てみると、動きの切れ目が分かったり、こういうときにはこういう動きをするんだなというのが朧気ながら見えてくるかと思います。
・移動には緩急をつけること
・予備動作、反動、時間差のパターンを覚えること
あとはお手本を見つけて観察ですね。モーショングラフィックス研究の一助になればと思います。機会があれば是非参考にしてみてください。