AviUtl、オブジェクトを重ねて作るシーンチェンジ

今回は、「重ねる」を意識したシーンチェンジについて紹介したいと思います。

1.繋げる
AviUtl、シーンチェンジの基本を覚えるズームトランジション

2.切り替える
AviUtl、シーンとシーンを繋ぐ切り替えテクニック

3.重ねる
→本記事

記事内ではmimarakaさんのCurve Editor93さんのDelay個別を使用しています。

オブジェクトを重ねる

シーンチェンジを自分で作る際のコツとして紹介した、「繋げる」、「切り替える」に続き今回は「重ねる」です。

ポイントは三つ。シーンを重ねること、マスクを活用すること、AviUtlのScene機能を活用することです。

タイムライン上では、シーンチェンジ前のオブジェクトとシーンチェンジ後のオブジェクトが重なった状態になります。

例として、次に来るシーンが画面の外から登場するシーンチェンジを作ってみます。

タイムラインはこのようになっています。

座標の移動にはこんな感じのカーブで緩急をつけました。

この「重ねる」シーンチェンジの特徴としては、シーンチェンジ前のオブジェクトAとシーンチェンジ後のオブジェクトBが同時に画面上に表示されていることです。

「繋がる」や「切り替える」では画面上にはオブジェクトAまたはBのどちらかひとつしか表示されませんでしたね。

別パターンも見てみましょう。こちらは次に来るシーンが前のシーンを押し出す形でシーンチェンジをします。

シーンチェンジ前のオブジェクトAとシーンチェンジ後のオブジェクトBを同じ時間と速度、同じ距離を移動させることで横にスライドするシーンチェンジになります。

このシーンチェンジも画面上にはAB両方のシーンが表示されています。

お手本動画を見たときに前後のシーンが同時に映っているときは、タイムライン上でオブジェクトを重ねて作るんだなということを思い浮かべれば再現にも役立つかと思います。

マスクの活用

続いては、マスクを使ってシーンチェンジのバリエーションを増やす工夫をしてみます。Sceneに背景を置き、適当な位置に中間点を打ちます。

ここではメディアオブジェクトの座標ではなく、背景オブジェクトに直接中間点を打ちます。

画面の外側(右)から座標移動で登場させます。イージングのカーブは先程と同じです。

こんな感じ。ブログの背景と同一化してしまうのでグレーにしましたが、実際に作るときは図形の色は白にしてください。

この動きをマスク用として活用します。

拡張編集左上のSceneボタンを右クリックしてシーンの設定を出し、シーン名をわかりやすい名前にしておくといいと思います。

Rootに戻り、シーンチェンジ後のオブジェクトBの方にマスクをかけます。マスクの種類は(シーンから選択)にして先ほど作ったSceneを選択します。サイズは現在作っている動画サイズに合わせます。

マスクをかけることでシーンチェンジ後のオブジェクトBをクリッピングしたような動きになりました。

ここで一工夫。新たに背景を出して同じようにマスクをかけます。数フレームずらしてシーンチェンジ後のオブジェクトBを配置します。

そうすると、先行する図形と後追いするシーンチェンジ後のオブジェクトBという形になります。先行する図形の色を変えてみたり、更に先行するオブジェクトを増やして二重三重にしてみたりと工夫できますね。

もう一工夫してみます。登場用マスクを作成したSceneに戻り、先ほどの背景にオブジェクト分割とDelay個別を追加でかけます。

設定はこんな感じ。オブジェクト分割してDelay個別で時間差をつけます。

Delay個別ではOrderを0にしてindexを無視にチェックを入れることで登場順をランダムにし、randomで時間差にバラつきを出すことができます。

今までの背景が一枚横から出てくる動きだったのが、スライスして登場する動きになりました。

Rootに戻って確認してみると、このように時間差をつけてスライスで登場するシーンチェンジになりました。

図形を使った別パターンのモーション。斜めクリッピングをかけています。

このように図形を使ったモーションの数だけシーンチェンジを作り出すことができます。

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Sceneを利用する

ひとつのシーンを作るとき、画像や動画ひとつだけとは限りませんよね。図形やテキストを加えていろいろと加工するものです。しかし、そうしてできたシーンにクリッピング等をかけても上手くいかないことがあります。

そんなときはSceneを活用します。Scene内のタイムラインで編集して、Rootにシーンオブジェクトとして呼び出すことで全体をひとつのオブジェクトとして扱うことができます。

複数オブジェクトで構成されたシーンもらくらくマスク(クリッピング)できます。

シーンオブジェクトの方にオブジェクト分割とDelay個別をかければ、クリッピングとは一味違うスライスも作れます。

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使用例

スライスとスライドのシーンチェンジ例です。

いかがだったでしょうか。
「重ねる」シーンチェンジは用途が広く、図形を使ったモーションとマスク、Sceneの活用とあわせて様々な工夫ができます。

「繋げる」、「切り替える」、「重ねる」とシーンチェンジのコツを紹介してきました。手間をかけてシーンチェンジを自作するのも動画編集の楽しみだと思います。機会があれば是非、ご自身の手でいろんなシーンチェンジを作ってみてください。