AviUtl、ディスプレイスメントマップの使い方

2020年4月10日

今回は、ディスプレイスメントマップについて紹介したいと思います。

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ディスプレイスメントマップって

ディスプレイスメントマップは、マップのかたちにオブジェクトを置き換えます。動画編集においては、ディスプレイスメントマップを利用してずれや歪みを作り出します。

フレームバッファにディスプレイスメントマップ

画像オブジェクトの下にフレームバッファを置き、ディスプレイスメントマップをかけました。

マップの種類は円、変形方法は移動変形です。サイズを300にして、ぼかしを0に設定しました。

変形Xを120とすると、画像中央が円でくりぬかれたようになり、中の画像が左に寄ります。これがディスプレイスメントマップにおける「ずれ」です。

この状態でぼかしを100としました。ディスプレイスメントマップでは、ぼかしをかけると画面が歪みます。「ずれ」につづく「歪み」ですね。

変形Yで縦方向に変化をつけるとこんな感じになります。

変化量を大きくし過ぎるとフレームバッファに穴が空いてしまうので、空かない程度に抑えるか、ぼかしの量を多く取るなどの工夫が必要になります。

変形XYでずらす量を決めた後は、XYでマップを移動させることができます。

変形方法

変形方法は全部で3種類。
移動変形、拡大変形、回転変形です。

移動変形は先ほどの例で見ましたが、座標をずらします。こちらの拡大変形は、拡大率をずらします。

回転変形は、回転をずらします。

マップの種類

マップの種類は全部で9種類ですが、動画編集において特に重要なのは、[シーンから選択]になります。

ここまでのおさらい

ディスプレイスメントマップの使い方のポイントは、

1.マップのかたちにオブジェクトを置換する
2.変形でずらす量を決める
3.ぼかしで歪む量を決める

この三つですね。
これを踏まえて、自分でマップを作成することになると思います。マップを自作と言っても、まずは「よくある」ものから覚えていくといいと思います。

シーンでマップを作る

Sceneで円(図形)を使って輪っかが大きくなる動きを作りました。ぼかしもここでかけます。シーンの設定では、[アルファチャンネルあり]にチェックを忘れずに。

Rootに戻り、マップの種類を[シーンから選択]、選択ボタンを押してマップを作成したシーンを選びます。[元のサイズに合わせる]にチェックを入れると、オブジェクトの大きさに合わせてくれますが、ぼかしや変形以外のパラメータは無効になります。

基本的には、Scene内のマップ作成の際に動きをつけてしまいます。XYを動かしたいという場合は、[元のサイズに合わせる]のチェックを外し、自分でサイズを調整することになります。

先程のマップを利用すると、波紋や衝撃波のような感じの動きになります。

このようなマップを作ると、両端の白い部分が歪みます。

また、上から下に向かって暗くなっていくグラデーションのマップでは、こんな風に歪んだりします。

応用

ずれの代表格ともいえるのがグリッチですね。
変形方法は移動変形。ぼかしを0にすることで、境界線を歪ませずにずれを表現します。

こちらで使ったマップを見ていきます。

マップその1。
背景にさつきさんのTA横スクロール(行)をかけます。行をランダム移動させるといい感じになります。

マップその2。
マップその1にノイズをかけたものです。このようなマップはラスターの高さを小さくしたような感じで歪みます。

マップその3。
背景にさつきさんのモザイクマスクをかけたもの。ブロックノイズを作るのにいいのではないでしょうか。

今回は、この3つを重ねてマップを作りました。

色ずれしている部分は別オブジェクトです。テキストにマスクをかけ、マスクの種類をシーンから選択し、ティムさんの色収差をかけました。

以前にも紹介したことのあるディスプレイスメントマップを使ったシーンチェンジに、ちょっとしたグリッチをたしたもの。

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いかがだったでしょうか。
ディスプレイスメントマップの難しいところは、どんなマップがどんな風に変化するのか、はっきりと掴めないところではないでしょうか。

まずは図形にぼかしをかけたり、グラデーションをかけたりして縦横に伸ばしてみるといったことから始めるといいと思います。

同じような効果のスクリプトに、rikkyさんのレンズディストーションというものがあります。ディスプレイスメントマップはわからないという方は、レンズディストーションを使ってみるものいいと思います。

[Aviutl]レンズディストーション スクリプト