
今回は、カメラ制御下のクリッピングマスクについて、いくつかの方法で試してみたので紹介したいと思います。
クリッピングマスク

元画像です。

マスク素材となるテキスト。

クリッピングマスクを利用したグラフィックです。
画像や動画を図形やテキストのかたちで切り取ること、または図形やテキストに画像や動画を合成することでこのようなことができるようになります。
AviUtlでクリッピングマスクをする方法としては、
1.上のオブジェクトでクリッピング
2.マスク
3.画像ファイル/動画ファイル合成
といったところでしょうか。
カメラ制御下

このクリッピングマスクで作成した素材をカメラ制御下で扱おうとすると思いの外難しかったです。ポイントは素材をひとつのオブジェクトにすることです。
それぞれの方法の特徴を見ていきたいと思います。
上のオブジェクトでクリッピング

よく知られていて手軽にできる上のオブジェクトでクリッピングは、カメラ制御下では上手くいきません。
カメラ制御下ではクリッピングされたオブジェクトはひとつでなければならず、上のオブジェクトでクリッピングのように二つのオブジェクトを使って作る素材はダメなようです。

基本的には不可である上のオブジェクトでクリッピングですが、カメラ制御にあるZバッファ/シャドウマップを有効にするのチェックを外すとクリッピングすることができます。


ただし、Zバッファ/シャドウマップを有効にするのチェックを外すと、奥行き感やシャドー(カメラ制御)を犠牲にすることになり、カメラ制御の良さが無くなってしまいます。
Zバッファ/シャドウマップを有効にするのチェックを外すなら、その前に他の方法を試したいところですね。

マスク


マスクを利用する場合は、画像にマスクをかけます。マスク素材を用意してその形に画像を切り取ります。

マスクをかけた画像オブジェクトはひとつなので、カメラ制御下でもクリッピングを維持したまま扱えます。このマスクを利用したクリッピングは個人的によく利用しています。

こちらがマスク素材です。マスクの種類をシーンから選択する場合は上下左右に見切れのない素材が望ましいです。

マスクでの注意点は、シーンから選択する場合、マスク素材が現在作っている動画サイズに制限されることです。大きいサイズの素材が活かせません。

マスクをかけるとこのように領域外はカットされてしまいます。このような場合は次の画像ファイル合成を試してみるのがいいかもしれません。

画像/動画ファイル合成


画像ファイル合成は、今までのように画像をマスク素材で切り抜くのではなく、マスク素材となるテキストや切り抜き素材に画像を合成します。動画を合成したい場合は動画ファイル合成をかけてください。


こちらもオブジェクトは切り抜き画像ひとつで済みます。

画像ファイル合成のポイントは、中心がオブジェクト領域の左上になることですね。拡大率をいじるときに注意したいところです。
マスクと違いSceneなどでマスク素材を用意せずとも切り抜きに画像を合成するだけなので、難しいことをしなければこちらの方が簡単に行えるかもしれません。
文字毎に個別オブジェクト
文字毎に個別オブジェクトにチェックを入れたテキストに対して直接上のオブジェクトでクリッピングや画像ファイル合成をかけても上手くいきません。
この場合はSceneを利用します。Scene内でテキストを編集しマスク素材とするか、呼び出したシーンオブジェクトに画像ファイル合成を適用させます。カメラ制御を使わなければ上のオブジェクトでクリッピングも可能です。
使用例
人物の切り抜きに画像ファイル合成、カメラの動きに合わせるように画像ファイル合成のXYを移動させています。
前回紹介したインクスプラッシュ。Sceneで作成したインクスプラッシュアニメーションをRootに呼び出して画像ファイル合成してみました。


いかがだったでしょうか。
カメラ制御下でのクリッピングマスクを適用したオブジェクトの扱いではSceneの重要性が感じられますね。カメラ制御を使った動画編集に少しでも役立てばと思います。是非参考にしてみてください。